カスタマーサクセスはやめとけと言われる理由とは?業務の辛さやきついと言われる原因を紹介!

「カスタマーサクセスは将来性があり、市場価値の高い職種だ」とよく言われますが、一方でその厳しさやプレッシャーについて語る声も少なくありません。この記事では、カスタマーサクセスという仕事の落とし穴やリスクについて深堀りしていきます。もし、カスタマーサクセスへの転職や配属を考えているが不安に感じている方は、この記事でその疑問や不安が解消できるかもしれません。

この記事を読むことで、カスタマーサクセスの職種に対する理解が深まり、より賢いキャリア選択ができるようになることを目指します。では、詳しく見ていきましょう。

カスタマーサクセスはやめとけと言われる理由

新しい領域なので体系的に学ぶ環境が少ない

カスタマーサクセスは、SaaSの成長とともに生まれた新しい職種です。営業のような既存の職種に比べ、学びのリソースや教材がまだ少ないのが特徴です。確かに、Sansanのような成功事例はありますが、サービスのタイプ(toB, toC)や重要性によって、その取り組み方は異なります。

役割や業務が細分化されて単調に感じる

カスタマーサクセスの業務では、顧客の利用データを基にセグメントを分けて行動をパターン化していきます。初期の段階ではそのパターンの検証が必要ですが、業務が成熟してくると、定められたパターンに沿った業務が増える傾向があります。さらに、サービスの規模や特性によっては、ハイタッチ・ロータッチといった顧客へのコミュニケーションの方法や頻度によって担当者が分けられ、得られる経験や業務内容が偏ることも。

全てマンパワーでなんとかしようとする

顧客の各種要望に対して個別に対応することで、確かに継続的な利用や満足度の向上が期待できます。しかし、SaaSのビジネスモデルの魅力の一つは、ツールの利用を通じて人件費を抑える点にあります。個別の対応が増えることで、労働集約型のビジネスモデルに逆戻りしてしまうリスクも。

顧客がなかなか動いてくれない

ツールとしてのサービスを提供している以上、顧客自身がそのツールを活用しないと成果は上がりません。カスタマーサクセスの役割として、ツールの問題点だけでなく、顧客の業務やモチベーション、リソースなどを考慮し、実際の業務に適用可能な形に落とし込む提案やサポートが求められます。

理想と実務に乖離がある

「カスタマーサクセス」という言葉の響きからは、顧客の成功をイメージしやすいですが、実際のツールやサービスが提供できる範囲は限られています。前述のマンパワーの問題とも関連しますが、役割を逸脱してしまうと、コストや時間の面で非効率になってしまうことが。そのため、ツールの範囲内での最適化や、ツールを補完するコンテンツの提供など、柔軟な対応が求められます。

こんなカスタマーサクセスは要注意

カスタマーサクセスの役割は、顧客の成功をサポートすることですが、その取り組み方や会社の方針によっては、成功を達成することが難しくなることもあります。以下のような状況や特徴を持つカスタマーサクセスには、注意が必要です。

提供するプロダクトが顧客の課題解決に繋がりにくい

カスタマーサクセスは、顧客の課題を理解し、それを解決するための適切なプロダクトやサービスを提供することを目指します。しかし、提供するプロダクトが顧客の実際の課題と合致していない場合、効果的なサポートが難しくなります。

例えば、ウェブサイトからのCVを増やしたいと考えている企業が、CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)を改善するフォーム改善サービスを導入したとします。このサービスは、フォームページにすでにアクセスしているユーザーのコンバージョン率を向上させることに特化しています。しかし、ウェブサイト全体の訪問者数そのものを増やす機能は持っていません。そのため、根本的な課題が「訪問者数の増加」だったときはフォーム改善サービスでは貢献できません。

このように、顧客の期待やニーズと提供するプロダクトの機能や特性が合致していない場合、カスタマーサクセスとしての成果を出すことは難しいと言えます。

会社や経営陣がカスタマーサクセスについて理解してない

カスタマーサクセスは、顧客の成功を支援する役割です。しかし、この役割の重要性を経営陣や会社が理解していない場合、以下のような問題が生じることがあります。

  1. リソース不足:カスタマーサクセスチームに必要な予算や人員が確保されない。
  2. 顧客の声の無視:新製品のリリースや機能追加時に、顧客からのフィードバックが十分に評価されない。
  3. 顧客満足度の低下:顧客のニーズが解決されないことで、満足度が下がり、解約のリスクが増加する。

結論として、会社や経営陣がカスタマーサクセスの価値を正しく理解し、サポートすることが、成功への鍵となります。

「解約率(チャーンレート)」が高い

チャーンレートは、顧客がサービスや製品を解約する割合を示す指標です。このレートが高いということは、多くの顧客がサービスや製品を継続して使用していないことを意味します。

チャーンレートが高いサービスには下記のような課題が存在します。

  1. 顧客の不満が存在する:チャーンレートが高い場合、サービスの機能不足、サポートの不十分さ、価格設定の問題など、顧客の不満や問題点が存在する可能性が高まります。
  2. 収益性の低下:継続的な収益が期待できないため、企業の収益性や成長が阻害されるリスクがあります。
  3. 口コミの影響:解約した顧客が悪い口コミを広めることで、新しい顧客の獲得が難しくなる可能性があります。

ただしチャーンレートが高いサービスは体制が未構築の場合が多いです。
一から体制を作っていきたい、カスタマーサクセスとして成長したいという人にとっては悪くない環境でもあります。

会社の雰囲気として、顧客よりも自社の目先の利益を優先する

企業の文化や価値観は、日々の業務や取り組み方に大きく影響します。カスタマーサクセスの役割は顧客の長期的な成功を追求することにありますが、会社が短期的な利益を優先する文化の場合、以下のような問題が生じる可能性があります。

短期的な利益の追求

会社が目先の利益を最優先する場合、カスタマーサクセスの活動もこの方向にシフトすることが考えられます。具体的には、新規顧客の獲得やアップセルを重視し、既存の顧客との関係構築やサポートが後回しにされることがあります。短期的には利益を上げることができるかもしれませんが、既存顧客のニーズを無視することで、長期的な顧客ロイヤルティや満足度が低下するリスクが生じます。

また、新規顧客獲得に注力する一方で、既存顧客からのフィードバックや要望を十分に取り込めない場合、プロダクトやサービスの質が低下し、市場での競争力を失う可能性も考えられます。

このように、目先の利益を追求する姿勢は、カスタマーサクセスの役割や目的と相反する動きとなり、結果的には企業全体の成長や継続的な成功を阻害する要因となり得ます。

開発体制が弱く、エンジニアの入れ替わりが激しい

カスタマーサクセスの役割は、顧客の成功を支援することですが、これには製品やサービスの品質も大きく関わってきます。会社の開発体制が不安定で、エンジニアの入れ替わりが頻繁に起こる場合、以下のような問題が考えられます。

不安定な製品の品質

エンジニアの入れ替わりが激しい場合、その結果として製品の開発や改善が停滞することがあります。新たなエンジニアがプロジェクトに参加するたびに、コードの理解やチームの方針に取り組む時間が必要となり、これが製品の品質に影響を及ぼすことが考えられます。

カスタマーサクセスの業務への影響

カスタマーサクセスチームは、顧客からのフィードバックや要望を受け取り、それを製品チームにフィードバックする役割も持っています。しかし、開発体制が不安定な場合、これらのフィードバックが適切に取り込まれない、あるいは取り込むのに時間がかかることが考えられます。

具体的には、あるSaaSツールでバグが見つかった場合、それが迅速に修正されるかどうかは開発体制に大きく依存します。バグの修正が遅れると、顧客の不満や信頼の低下を招くリスクが高まります。

このような状況下では、カスタマーサクセスチームが顧客とのコミュニケーションを強化し、問題の解決や改善を迅速に進めることが求められます。

カスタマーサクセスに向いている人の特徴

カスタマーサクセスは今や多くの企業で重要視されているポジションですが、一方でその厳しさやストレスが話題になることもあります。しかし、自分がどのようなスキルや特性を持っているかによって、この職種で成功する可能性は大きく変わります。以下に、カスタマーサクセスに特に向いているとされる人々の特徴をいくつか挙げてみましょう。

コミュニケーション能力に長けている人

カスタマーサクセスは、顧客と密にコミュニケーションを取る仕事です。顧客のニーズを正確に把握し、それを社内にフィードバックする能力が求められます。また、時には顧客からの厳しい要求にも対応する必要があります。したがって、コミュニケーション能力が高い人はこの分野で成功しやすいです。

また、カスタマーサクセスの業務は顧客のデータを見ることが多いです。
そのデータから画面の向こうの顧客がどんなことに悩んでいて、何に躓いてしまったのかを事前に察知するスキルも必要です。

社内連携が得意な人

カスタマーサクセスの仕事は、契約をした顧客に対して継続してやり取りをしていく立場です。そのため、自社のプロダクトやサービスの評価点・改善点を関連部署に共有することも一つの役割です。

例えば、
対開発部門でいえば、ユーザーからプロダクトのフィードバックを集めることで重要度の高い課題感にきづけることがあります。 社内の人間が必要だと思っても実際にユーザーは求めていないというケースも多々あるので、これは貴重な意見です。

対営業部門でいえば、実際どんな顧客が継続をするのか、逆にどんな顧客がプロダクトに適していないのかをフィードバックすることが重要です。
カスタマーサクセスが追う重要な指標である解約率(チャーンレート)を改善するために、入り口である営業部門と連携することが重要です。

『売るべきところに売る』 その状態を作るためにはカスタマーサクセスを起点として各部門へのフィードバックの体制は重要です。

定義・仮説検証が好きな人

顧客の成功を定量的に測定するためには、KPI(Key Performance Indicator)の設定や仮説検証が頻繁に行われます。これらの数値やデータに基づいて、顧客がどれだけプロダクトに満足しているのかを評価します。このような分析が好きな人は、カスタマーサクセスにおいて高いパフォーマンスを発揮することが期待されます。

特にSaaSはプロダクトによって何が重要な指標なのかはバラバラですし、実際に使ってもらわないとわからないことも多いです。
この機能やこうゆう動きをするユーザーは理想的な動きをしているんじゃないか?、という仮説を立ててモニタリング、実際に解約したユーザーの利用状況をみてその仮説が正しかったのか、間違っていたのかを検証するサイクルを回す必要があります。

以上のような特性やスキルを持っている場合、カスタマーサクセスでの成功確率は高く、悪い噂や不安要素をクリアにしていく力にもなり得ます。

カスタマーサクセスとして働くメリット

カスタマーサクセスとして働くことには多くのメリットがあります。悪い噂や厳しい条件も耳にするかもしれませんが、その一方で非常に充実感のあるキャリアを築くことができます。以下に、特に注目すべきメリットをいくつか紹介します。

プロフェッショナルを目指せる

カスタマーサクセスは、高いレベルのコミュニケーション能力や問題解決スキルが求められる職種です。そのため、この分野で優れたパフォーマンスを発揮することは、他の多くの職種で求められる「プロフェッショナル」とされるスキルを磨く大きなチャンスです。

プロダクト開発のキャリアにもつながる

カスタマーサクセスマネージャーは、顧客からの直接的なフィードバックを製品開発チームに伝える役割も担います。そのため、製品開発のプロセスに深く関与する機会があり、技術的な知識やプロダクトマネジメントのスキルを身につけることが可能です。

別職種のキャリアチェンジに活かせる

カスタマーサクセスで得たスキルは、セールスやマーケティング、製品開発など、他の多くの職種で有用です。特に、顧客との関わり方やニーズの把握、プロダクトの強みと弱みを理解する能力は、どのような業界や職種においても非常に価値のあるスキルとされています。

これらのメリットを考慮すると、カスタマーサクセスは多くの成長の機会と報酬を提供してくれる職種であると言えるでしょう。不安や悪い噂もありますが、自分自身が何を達成したいのか、どのようなスキルを磨きたいのかに応じて、非常に魅力的なキャリアパスである可能性が高いです。

カスタマーサクセスの市場価値は高い?

カスタマーサクセス(CS)の役割は近年、ますます注目されています。特にSaaS(Software as a Service)企業においては、製品自体よりも顧客との長期的な関係が重視される傾向にあるため、CSの重要性が高まっています。しかし、この分野の市場価値は実際に高いのでしょうか?

SaaSの主流化も市場価値を高めている要素

SaaSのビジネスモデルが主流になるにつれて、顧客の維持と成功がより重要になっています。顧客が継続的にサービスを使用することで、企業の収益も継続的に生まれるわけですから、顧客を「成功」させることが会社全体の成功に直結します。

その結果、カスタマーサクセスマネージャーは、単なる「問題解決者」から「顧客の成功を促進する戦略的パートナー」へとその役割が変わりつつあります。これによって、カスタマーサクセスの職種自体の市場価値が高まっています。

SaaS企業だけでなく、一般的な製品やサービスを提供する企業でも、顧客体験と顧客満足度が競争力を左右する重要な要素となっています。そのため、多くの業界でカスタマーサクセスのスキルが高く評価されています。

総じて、カスタマーサクセスは市場価値の高い職種と言えるでしょう。特に、顧客と深く関わり、その成功を直接に促進する能力を持っている人々には多くのチャンスが広がっています。不安や悪い噂もあるかもしれませんが、その市場価値の高さと将来性を考慮すると、カスタマーサクセスは非常に魅力的なキャリアパスと言えるでしょう。

よくある質問

カスタマーサクセス(CS)については多くの疑問や不明点があります。特に転職や配属を考えている方にとって、具体的な情報が欲しいところでしょう。以下で、よくある質問とその回答をご紹介します。

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスは、顧客が製品やサービスを効果的に使用できるように支援する役割です。ただし、それだけではなく、顧客が達成したい目標に対してどのように製品やサービスが貢献できるのかを考え、積極的に提案や改善を行います。その結果、顧客の成功が企業の成功に直結するわけです。

カスタマーサクセスは激務って本当?

一概に言うことはできませんが、カスタマーサクセスは確かに多くの責任とタスクを持つ職種です。顧客とのコミュニケーション、内部チームとの連携、データ分析といった多岐にわたる作業があります。そのため、一部の企業や状況においては「激務」と感じる場合もあるでしょう。ただし、これは企業の文化やチームのサポート体制、自分自身のスキルセットによって大きく変わります。

カスタマーサクセスをやめたいときはどうすれば良い?

カスタマーサクセスをやめたいと考えた場合、まずはその理由を明確にすることが重要です。仕事量が多い、報酬が低い、キャリアパスが不明確など、さまざまな要因が考えられます。理由が明確になったら、次にその問題を解決するための手段があるかどうかを考えます。内部での改善が難しいと判断した場合、転職や部署変更を考慮することも一つの方法です。

カスタマーサクセスで得たスキルは多くの職種で役立つため、異業種への転職も十分に考えられます。ただし、その前に、現在の状況で何が問題なのか、何を改善したいのかをしっかりと考えることが、次のステップに進むための重要なステップとなります。

これらの質問と回答が、カスタマーサクセスに対する不安や疑問を少しでも解消する手助けになれば幸いです。